一般病室を手術室に変更したリニューアル工事
和歌山県 角谷整形外科病院様
今回、一般病室を手術室に改修する際、階高が低いこと、手術台中央部に梁が通ることにより通常のMDF(クリーンファンユニット)を設置する事ができませんでした。アイソテックは、この環境でも設置可能な「特型MDF(クリーンファンユニット)」を開発し、整形外科等で使用する為の確実な垂直層流気流により高度清浄域が確保出来る「空調システム」を構築して納品いたしました。ここで本事例をご紹介いたします。
リニューアルの目的
手術室を増床し、年間の手術件数を増やす
医療法人スミヤ 角谷整形外科病院は、JR和歌山駅のすぐ近くに立地しており、地域社会のみならず全国各地から患者が受診する病院です。
手術症例としては、脊椎脊髄疾患での内視鏡下手術、関節疾患に対する関節鏡下手術や、股関節・膝関節に対する人口関節置換術等も多数行っており、年間手術例数は、950を越えています。今回、更に手術件数を増やすため、一般病室を手術室に改修し、整形外科手術室を3室増やし(合計5室)、手術ホールやリカバリー、器材室などの周辺諸室も含めたリニューアルを行いました。
リニューアル後
最新の無影灯(LED照明装置)を手術室に設置
天井高は床から2,450mm。手術に使う無影灯はこの中に設置できるものを対応しました。
工事対象フロアーは3階492.42㎡。工期は10月15~12月29日となります。約2ヵ月半を要しました。
手術室
感染予防機能の高い手術室を構築
手術室は、3階に設置され、今回増設した手術室×3室と合わせて、計5室を有しております。今回増設した手術室B~Dの3室は、鉛ボードによるX線防護対応及び整形外科に特化し、室内清浄度としてはクラス1,000の手術室となります。
整形外科手術室に対して感染予防機能の高い手術室とする必要がある為、局所清浄方式を採用しました。これは、手術台範囲のみHEPAフィルターで囲い、その部分を垂直層流方式とし、気流の障害物となる無影灯を両サイドに移動することによって手術台上の高洗浄度を維持する方式です。室全体としては、室の大きさに応じて、クラス1,000及びクラス10,000の換気回数となります。
左図は今回採用しました局所清浄方式を可能にした「特型ファンフィルターユニット」の配置となります。
手術台中央に気流がしっかり到達する様に、本体HEPAケーシング部が梁を避けた形状としました。
約4分後には、クラス100をクリアすることが可能に
グラフは実測した清浄度の立上り測定データです。手術台中央部 床から95cmの高さにおいて、約4分程で、クラス100をクリアーする事が可能です。0.5ミクロン以上の粒子が30cm四方の空間の中で100個以下まで下がった数値となります。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の工事で、低い階高でも納まる整形外科に特化した垂直層流システムの構築を実現することができました。今後は更なる高機能なユニットの開発にも意欲的に取り組む次第です。 取材に対してご協力いただいた皆様に、この場をかりて御礼を申し上げます。
角谷整形外科病院HP http://www.sumiya.or.jp/